資料で確認した予定と見込みを分け、根拠を残す

公開日: 2026-09-14 #資金繰り #相談前の準備

相談用の資金繰り表では、見込みの入出金と、書類又は合意で日付・金額を確認できる入出金を同じ欄に入れません。どちらも予定であり、未入金の売上が手元資金に変わったわけではありません。分けて記録すると、相談先や契約相手に、何が確認済みで何が未確定かを伝えやすくなります。このページは、資金不足の解消方法、借入額、契約相手、審査結果を判定するものではありません。

手元の記録では五つの状態を分ける

記録には次の五つの状態を使います。

状態 記録する例 扱い
入金済 実際に入金を確認した売上代金 日付と入金額を記録する。
資料確認済みの入金予定 契約書・請求書等で金額と支払期日を確認した売掛金 入金済とは分ける。相手方の支払いや変更は別途確認する。
見込みの入金 見積提出中の案件、口頭の発注意向、未契約の継続受注 合計残高の前提に自動で入れない。根拠と未確定理由を書く。
資料確認済みの支払予定 契約、請求書、給与計算等で支払期日と金額を確認したもの 元の期日、支払先、費用に含まれるものを記録する。
支払見込み 発注前の仕入れ、更新未確定の保守、検討中の採用費 資料確認済みの支払予定と合算せず、見積りの条件を残す。

具体例:制作会社の請求と外注費

以下は説明用の架空の記録例です。会社名・取引先名・請求書画像・口座情報を予定表ツールへ入力する欄はありません。ウェブ制作会社が、納品済みの案件について請求書を発行し、契約書又は請求書で支払期日を確認できる場合、その売上は「資料確認済みの入金予定」です。期日が来る前なら「入金済」には移しません。一方、提案書を提出しただけの次期案件や、顧客から「発注予定」と聞いた案件は「見込みの入金」です。案件名、根拠資料、確認日、未確定の理由を残します。

同じ月に、外注デザイナーへの支払いが契約又は請求書で確定しているなら「資料確認済みの支払予定」です。次の月に使うかもしれない広告制作費は「支払見込み」に置きます。入金予定日と支払予定日が近いからといって、一方を他方の支払い原資として確定扱いにはしません。

取引先に支払期日の変更を相談する場合も、相手方との合意前は元の支払期日を残します。変更が合意された場合に、合意日、変更後の日付、費用や遅延損害金等の条件、根拠となる書面を追記します。支払期日の変更は融資でも債権売却でもなく、相手方との契約条件に関する確認です。無断で予定を変えるための手順として扱いません。

ツールの二つの状態との違い

日末の予定表では「資料で期日・金額を確認した予定」と「見込み」の二つを選びます。日末計算に使うのは基準日より後の資料確認済み予定だけです。基準日以前の入金済・支払済の実績は開始残高に含まれるため、再び入力しません。見込みは期日と金額が分かる場合に別表へ記録でき、日末計算へ加えません。資料があっても実際の入金や支払いが実現することを保証しません。

更新の手順

  1. 請求書、契約書、発注書、通帳・口座明細など、日付と金額を確認した資料を手元で確認します。サイトやツールに書類そのもの、取引先名、口座情報を送る必要はありません。
  2. 一行ごとに、入金か支払いか、五つの状態、日付、金額、根拠資料、確認日を記録します。金額に税・振込手数料・送料等が含まれるか不明なら「未確認」と書きます。
  3. 見込みの行には、見込みの根拠と、確定に変わる条件を書きます。例は「発注書を受領したとき」「相手方が変更に合意したとき」です。条件が満たされるまで状態を変えません。
  4. 実際の入金又は支払いを確認したときだけ、「入金済」又は記録済みの実績に移します。元の見込み・確定予定の記録を消さず、確認日を残します。
  5. 相談時には、確定予定と見込みを別にした表を見せ、対象制度・必要書類・契約条件の確認事項を質問します。表だけから申込み、借入額、返済可能性を決めません。

日本政策金融公庫は、国民生活事業の書式として資金繰り表・簡易版及びその記入例を公開しています。自社の実情に合わせて記録する際の参照先にはなりますが、サイトの表計算結果が公庫や他の金融機関の判断を表すものではありません。相談は申込み・面談・契約・入金と別段階であるため、期限の見込みを「入金が確定した」と表示しないことも必要です。

債権を売却する契約について調べる場合は、請求書の金額だけで判断せず、買取代金、手数料その他の費用、買戻しや自社資金での支払いの有無、回収・通知・情報提供の条項を契約書で確認します。金融庁は、形式的にファクタリングと書かれていても、取引の実態によって貸金業に該当するおそれがあると注意喚起しています。契約内容に不明点がある場合は、法律の専門家等の正式な相談先に確認します。

一次資料

日末の予定と期日を確認する